ステンレスワンピース手銛 製作マニュアル

当店の【ステンレスワンピース手銛製作キット】を使って手銛を作るための、マニュアルを書いてみました。

下記を参考に、手銛の製作に取り組んでみて下さい。

 

ただ「製作」とは言っても手順は本当に超カンタンで、ざっくり言えば下記の5ステップでもう手銛が完成します。

  1. エポキシ接着剤を用意する(2液を混合する)
  2. キットの金具に接着剤を塗る(パイプにも少量入れる)
  3. ステンレスパイプに金具を挿入する
  4. 接着剤の硬化を待つ
  5. 固まったら、銛先とアイボルトを取付け

細かい部分のノウハウは、下記にて画像を入れながら解説していきたいと思います。

 

必要なもの

  1. 製作キット一式(金具2点、アイボルト、ヤスゴム、紐)
  2. ステンレスパイプ 長さ1800mm(1820mmの物も有り) 
    外径16mmの「オールステンレスパイプ」
  3. エポキシ接着剤

特に工具は必要ありません。

他にあったほうが良いものとしては、接着時に「脱脂」するための、「パーツクリーナー」も、もし余裕があれば準備してみてください。

これもまたホームセンターで安価に入手できます(200円しないぐらいです)。

 

パイプ選びの注意点

ステンレスパイプについては、どこのホームセンターでも売っていると思います。

売り場に行って、「長さ1.8m、太さ16mmの “オールステンレスパイプ” ください」と店員さんに伝えれば出してくれます。

ただ、ここで注意してほしいのが、必ず写真のような「オールステンレスパイプ」を用意して下さい、という事です。というのが、実はステンレスパイプには2種類あり、オールステンレスパイプの他に「巻パイプ」というのがあります。

これは外側だけステンレスを巻いたもので、中は鉄でサビてしまう上に強度もありません。こちらは手銛製作には適さないので、使用は避けて下さい。

 

あとはもう一点、通常、ホームセンターに置いてあるステンレスパイプは「肉厚0.8mm」なのですが、手銛製作にはこの厚みのものを利用して下さい。これより肉厚のものだと、キットの金具を挿入するのがかなりキツいです。(相当叩き込まないと入りません)

これはレアなケースではありますが、金物屋さんなどでステンレスパイプを調達すると、よりゴツい肉厚1mmのものを出されたりしますので、そういう場所でパイプを調達する場合は、必ず0.8mm厚の物を出してもらうように伝えましょう。

ちなみに、肉厚は0.8mmでも強度にはまず問題ありません。元祖たるアクアライフさんのアクアヤスでも、このホームセンター物のパイプを利用されています。

 

エポキシ接着剤について

金具とパイプの接着には、エポキシ接着剤を使います。

これは正直、どんなものでも構いません。100均にある物でもOKです。あれは量も少ないですが、この手銛を一本作るだけならジャストの量です。(ただ、あれは硬化時間がかなり短いのでその点だけ注意して下さい)

強いていうならば、若干の吸水性を持つ「クイックメンダー」などは避けたほうが無難かもしれません。

万全を期すなら、硬化時間の長いタイプのものの方が安心です。(私のおすすめはコニシのE250です。写真のものは量が多すぎますが、少量タイプもあります)

エポキシ接着剤を塗布する目的としては、もちろん金具の固定というのが第一ではありますが、もう一つ重要な目的として、「パイプ内部に海水が入るのを防ぐ」という目的があります。

ですので、基本的にはエポキシ接着剤はタップリめで、パイプ内部を接着剤で充填するぐらいのつもりで使って下さい。

 

金具のエア抜きについて

ちなみに、キットの先端・後端金具には6mmのネジが切ってありますが、これは金具を「貫通」しています。このままだと、接着時にネジ部分に接着剤が侵入してきてしまうので、出荷時にはこのネジの奥に「イモネジ」を入れています。

何のために貫通させているのかというと、これはまた接着編で解説しますが、パイプの前後を接着剤を塗布した金具を挿入して「密閉」してしまうと、圧力で金具を押し出す力が働きます。そこでもし空気を抜く工夫が何も無いと、金具が固まる前にグニュ~っと押し出されてきてしまったりして厄介なのです。

そのため、ネジ穴を貫通にしてしまい、あとからイモネジを入れることで、ある程度エア抜きのためのスキマをあけるようにしています。

 

接着編

さて、早速ですがもう接着工程に入ってしまいましょう。

このような手順で進めます。

  1. パイプに金具を「仮挿入」してみる
  2. パイプと金具を、パーツクリーナーで脱脂する
  3. パーツクリーナーが乾くまで待つ
  4. エポキシ接着剤のA液とB液を等量混ぜる(混ぜまくる)
    ※硬化時間の長いエポキシの場合は、粘度が高くなるまで少々待つ
  5. パイプ内部にエポキシを注入する
  6. 金具にエポキシを塗布して、パイプに挿入
  7. 硬化を待つ

 

金具とパイプの嵌め合いについて

先述の通り、パイプに挿入する金具は、肉厚0.8mmのステンレスパイプに合わせて設計しています。

具体的には、金具のパイプ挿入部分の外径は14.5mmにしています。

パイプの外径が16mm、厚み0.8mmですので、内径はおよそ14.4mm。計算上はコンマ1mmほど金具のほうが太いので、軽くコンコンと叩いてやるぐらいで、ちょうどパイプに入っていく計算になっています。

・・・ただ、この手のパイプは溶接パイプのため、内径は厳密には保証されていません。

なので、モノによっては叩かずとも「スコン」と入ったり、または若干キツく叩かないと入らなかったりします。これはどのパイプにもある製品のバラツキなので仕方ありません。

ですので、まずは接着前に仮組みをしてください。

もしも叩かないと入らない場合は、ハンマーを使う必要はありません。硬い床の上で(床に傷が付かないよう、タオル等を敷いて)、パイプに金具をちょっと入れてやり、その金具を下に向け、パイプを持ってそのまま金具ごと床にコンコンとやってやれば十分入っていくはずです。

もしも万全を期すならば、キットの金具を持ってホームセンターへ行き、ステンレスパイプの現物と軽く合わせてみるのがいいでしょう。(必ず店員さんに一声かけて下さいね)

 

エポキシを使うポイント

ちょっと細かい話が続きますが・・・

エポキシ接着剤は、A剤とB剤を混ぜて使うタイプの接着剤です。

それらを混ぜることによって化学反応が起こり、硬化するというわけなのですが、それにあたってのポイントをいくつか紹介しておきます。

まず、化学反応で硬化するという性質上、気温が低いと硬化時間が非常に長くなります。要するに「寒いと固まりにくい」という事ですね。もちろん、硬化までしっかり待ってやれば強度的には何の問題も無いのですが、さっさと固まらせたい場合は、金具とパイプを、事前にドライヤーなどで温めてやるのも一つの方法です。

※ただし、火気は厳禁!

その場合、エポキシ接着剤の粘度が低くなり、トローンとなってパイプ内部に垂れてきやすいので、その点にのみ注意して下さい。

 

金具の挿入

接着剤の準備が終わったら、まずパイプ内部にたっぷりエポキシを入れ(海水侵入防止のため)、金具にもエポキシを塗って挿入していきます。

※ここで入れる接着剤の量が足りないと、イモネジの隙間を埋めきれず海水侵入の原因になります。接着剤はたっぷりと入れて下さい。

奥までキッチリと。

はみ出した接着剤は、しっかり拭き取っておきます。

 

金具接着の順番は?

ちなみに金具は2点あり、パイプの前後にこれらの金具を取付けるわけです。

特にどっちから作業したほうがいい、という順番は無いものの、「両方イッキに接着」というのは、最初は避けたほうが無難かもしれません。

まずは片方を接着し、接着剤が固まってからもう片方・・・という作業工程がおすすめです。

 

銛先・ヤスゴムの取付け

接着は以上で終わり、あとはもう金具のネジに、銛先とヤスゴム(アイボルト)をねじ込むだけです。

完成!

さて!もうこれで手銛が完成しました。

ちょっと細かいノウハウを書いてしまったのですが、実際に作業してみると本当にあっけないぐらいカンタンだったと思います。

 

滑り止めについて

最後に一点補足として、滑り止めについても触れておきます。

完成した手銛は、現状だと単なるステンレスパイプなので、滑り止め加工を施すのも有効です。

滑り止めには、私がよくブログなんかで紹介している「階段用滑り止めテープ」を利用するのも一つの手ですし、当店で扱いのあるグリップテープも施工が簡単でおすすめです。

まとめ

というわけで、当店のキットを使った、ステンレスワンピース手銛の製作手順を解説してまいりました。

これまでヤスを全く扱ったことのない初心者の方でも、この手銛は十分使いこなせるかと思います。また、この短い手銛が抜群の効果を発揮する、テトラや穴打ちなどのシチュエーションもあります。

ぜひ活用して頂ければ幸いです。

消耗品(銛先・ヤスゴム)に関しても、ネジでカンタンに交換が可能ですので、末永く使える相棒として、どうか可愛がってやって下さい!

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新製品や試作品はまず最初にこのショップに置くようにしていますので、是非定期的にチェックしてみてください。