アウトドアに使う道具って基本的には「趣味」ですから、自分が好きで気に入ってる道具を使えばいいんです。
ただし、こと「刃物」においては「好き」以外にも考えなければいけないことがあります。
なぜなら刃物は「誰かを傷つける危険性」があるからです。
たとえば、やっと手に入れた好きなメーカの手斧。でも
- グリップが太すぎて自分の手には合わない
- 重すぎて振りにくい
- そもそもの用途に合ってない
こんな刃物を使い続けていると、いずれ必ず怪我をします。
※これは私物のハチェット(加工前)。グリップ形状が自分には合わないのでここから加工していく
それが自分の怪我ならまだしも、斧のように振り下ろして使うような道具では、周りの人に怪我をさせる可能性も十分にあるわけです。
最近私の周りでも「刃物で怪我をした」という報告をよく耳にします。
刃物を扱う人(もしくはこれから手斧やナイフ、ナタを買おうと思ってる人)はここでちょっとだけ立ち止まって、今一度自分と刃物との向き合い方を考えてほしいなと思い、今回の記事を書いてます。
刃物を選ぶ際の「優先順位」
先程も言いましたが、好きとか、お気に入りとかの前に。
刃物を選ぶ際に絶対に守るべき「優先順位」というのがあります。
1 しっかりしたシースがついているか
まず第一は「シース(鞘、ケース)」です。
え?シース、って刃物じゃないじゃないかと思われるかも知れませんが、
ハッキリ言って、刃物本体よりシースのほうが遥かに重要です。
断言しますが、いくら良い刃物でもシースがダメならその刃物はゴミです。
たとえば、
- よく切れて
- しっかり手にもフィットして
- とても扱いやすい
これは一見すると良い刃物のようですね。
でも、
もしそんな刃物を「抜き身」でブラブラさせてたら?
これはもう単なる犯罪者です。
そうならないために、しっかりと刃物を保持・固定できるシースは絶対に必須。
- いつのまにかシースが脱げてる
- シースの脱着が面倒なのでついそのまま(抜き身のまま)にしがち
- シースがチャチくてすぐ壊れる
これは「刃物を抜き身で持ち歩いてる」と結果的には同じことです。
何度でも繰り返しますが、シースはめちゃくちゃ重要です。
しっかりしたシースがついてない、もしくは脱着がしづらい機能性の悪いシースしか付属しない刃物は「買ってはダメ」です。
2 グリップ(握り)が自分の手に合っているか
次に重要なのが「グリップ」です。
グリップが自分に合ってない、握りにくいような刃物は絶対に使うべきではありません。
斧や手斧(ハチェット)は特にそうです。
振り下ろして使う道具なのでグリップが悪いとスッポ抜けの危険がある上、重量もある刃物ですから、スッポ抜けた斧が当たったら下手すれば死にます。
それも斧を振るった本人が、じゃなくその先に居た「他人が」、ですからね。
あと、これはやってる人も多いのでちょっと言いにくいことではありますが、オノの柄にパラコードを巻いてる人をよく見ますよね。
正直、これは自分的には絶対おすすめできません。
パラコード分太くなるので、よっぽど手の大きい人でない限り「握りにくくなるから」です。
あとはパラコード自体が滑りますし、もし使ってるうちにパラコードがほどけたり切れたりしたら、それもまたスッポ抜けの原因になります。
ファッション的にパラコード巻きをする人も多いのかとは思いますが、安全面に関わる部分なので、それこそ優先順位を考えてもらいたい所です。
※グリップ部分の話ね。刃の根元に保護目的でパラコード巻くのは問題ないと思います。言うまでもない事ですが念のため
余談ですが、自分が使ってる手斧の握り部分にはパラコードではなく「グリップテープ」を巻いてます。
これなら厚みも少ないので握りにくくなることはなく、ゴム質のテープなのでむしろグリップ力は格段にアップします。
まあ恰好は悪いですけどね。笑
※ちなみにこの手斧は、木の柄自体も自分の手に合うように削ってます。
3 刃物の用途が合致しているか
包丁で薪割りをする人はいません。
逆にナタで刺し身を作る人もいないでしょう。
このように、刃物というのは用途に応じて様々な種類があります。そしてそれぞれに違った「役割」があります。
それを無視して、本来の役割以外のことに使ったりするのも危険な行為です。
刃物が壊れるだけならいいですが、これもまた自分、もしくは他人に怪我をさせる危険性があります。
用途に合った、役割に合致した刃物をちゃんと選ぶようにしましょう。