野良道具製作所の防災への取り組み
星の数ほど「災害用品」や「備蓄」についての情報がある中で。
私はまず防災の「ファーストステップ」を踏むこと、まずは小さなステップでもいいから、とにかく何かしら「備蓄」という行動をとってもらうことが一番重要なことだと思ってて。
そこで私が出した答えは、このシンプルなパッケージ
【防災タンク】
です。
野良道具製作所が提案する「防災タンク」
この防災タンク、パッケージの中身は
・QAMARウォータータンク
・7年保存水500ml×8本
たったこれだけです。
7年保存水のペットボトルを、ウォータータンクの中に8本突っ込んでます。一言でいうとそれだけ。あとは空いたスペースに着替え、生理用品、救急用品や子どものおむつなどを詰め込む。
え?なぜわざわざタンクの中にペットボトルを?
その疑問に答えるためにまず、実際の災害時の運用法からお話します。
まず、避難所に着く、または被災後落ち着いたタイミングで、タンクの中に入っているペットボトル等を全て取り出します。
そして、「生活用水」としてウォータータンクの中に水を入れます。
(給水車、または多少汚れた川などの水でも)
もうおわかりですよね。
こうすることで、
・飲用水はペットボトルの水(4リットル)
・生活用水はウォータータンクの中に12リットル
合計16リットルの水が確保できるんです。
大切な飲用水を生活用水にまわすこともありません。
これをひとり1タンク用意しておけば、家族単位でおよそ2~3日ほどは水の心配をせず過ごせる計算になります。
でも、水だけ?
他に必要なものもあるでしょ??
はい、あります。そういった物も
「ウォータータンクの中に入れてください」
着替え、下着、生理用品、タオル、救急用品など。
これらはあなた自身にしか用意できないものですから。
これらをタンクの中に入れておくことで雨や汚れから守ることが出来ます。
あとはこのタンクの特徴ですが、
「スタッキングが出来ます」
なので家族分用意しても「タテ」に積めるので場所をとりません。
あとは別途またタンクを用意して、今度は食料を詰めたパッケージを作るのも良いと思います。
持ち運びについて
でもこのタンク、持ち運ぶの苦労するんじゃ?
やっぱりリュックのほうがいいんじゃないの?
はい、個人的には「リュックも必要」だと思ってます。
ただ、そのリュックに必要な分の水を全部入れたら、それこそ重すぎて避難が遅れるわけです。
水まで避難用リュックに詰め込もうとすると保管場所に困る&重くて運べないので、そこは分けて備えるのが得策だと思うんですね 。
現代は避難所網もある程度整備されてるので、初動の避難で水まで苦労して持っていくより、避難後落ち着いて自宅に戻ったタイミングでタンクを回収できればいいのではないか、という考えです。
避難用リュックについてはまた別の機会に詳しく解説しますが、初動の避難用リュックは水を除外した(500ml一本ぐらいは入れる)貴重品・災害用品・防犯用品・救急セットや少量の食糧だけを詰めて玄関に置くのがベストではないかと思ってます。
ひとつとして同じ “災害” は無い
ただ引っ掛け問題みたいであれなんですけど、その疑問(リュックが必要なのでは?)も、とにかくまず「防災」という第一歩を踏み出したからこそ湧いてきた疑問ですよね?
これこそが一番大事なことで。
だって結局、災害対策・防災というのは
各自で自分の環境に合わせてカスタマイズ
するしかないんですから。
まず「災害」と一言で言っても様々な種類があるわけです。
地震、津波、水害、土砂災害、
また同じ種の災害でも地形も違えば人口も文化も建物も違います。(何より各地域で防災体制が違う)
つまり
ひとつとして同じ「災害」は無い
わけで、すなわち防災もそれぞれに合わせて行う必要があるということです。
でも、そんな状況をしっかり把握し、いきなり最初から完璧な「備え」ができる人なんてまずいません。
だから、まずはとにかく第一歩を踏み出してもらうこと。
ファーストステップを踏んでもらうこと
が何より大事だと私は考えています。
細かいことはその後で考えれば大丈夫。
そういった意味において、わかりやすく、手を出しやすく、ハードルの低い簡易な「パッケージ」を用意し、
それをベースに自分自身や家族の「防災」を考えてもらうきっかけが作れたらなと思い、この防災タンクを提案することにしました。
地域の防災を知るのも大事
私も去年、いくつかの自治体さんで地域防災のワークショップや講演といった取り組みをしてきました。
どんな災害でも、まずは「地域の避難所」に集まります。
でも、その地域の避難所に
・どんな防災体制があって
・何人ぐらい受入可能で
・どのぐらい備蓄があって
という情報を正確に把握している人は少ないですし、自治体もまたそういった情報を積極的には周知できていません。
これを知ることは非常に重要で、まずはその情報を知る、そして体験するという事をテーマに行いました。
これもまたファーストステップですね。
結局、防災というのは一歩一歩こつこつ積み上げていくしかないです。
これは方法論やスタンスという枠を超えた事実で。
野良道具製作所も地道に一歩一歩、その積み重ねのサポートができればと思ってます。