こんにちは。野良道具製作所の代表、里崎と申します。
「野良」に興味を持っていただき誠にありがとうございます。
なんで「野良」なんですか、ということをたまに聞かれます。
色んな意味はあるんですが、まず最初の製品である野良ストーブが完成した時、思ったんですよね。
ああ、やっぱり「野良」なんだなって。
ちょっと意味がわかんないですよね。
いや、この野良ストーブというのはソロ用の焚き火台なんですけども。
野良ストーブの開発をスタートした当時(2010年ぐらい)、焚き火台の選択肢もすごく少なかったし、ましてソロ用の小さな焚き火台なんかほとんどありませんでした。自分の記憶ではユニフレームさんのネイチャーストーブぐらいしかなかったと思う。
でも、自分はどうしてもソロ用の、すなわち
野良用
の焚き火台が欲しかったんです。
当時あった焚き火台ってのはどれも大きめで、「焚き火=複数人で火を囲む」みたいなイメージというか、焚き火台はそのための道具って感じでした。
でもそれだと薪もたくさんいるし、何より気軽に持っていけない。
ソロでも、野良でも、ひとりでも気軽に持っていけて、サッと取り出してパッと焚き火する。そしてその小さな炎を眺めながら、ひとり分のラーメンやら作る。
特に自分は海辺でキャンプすることが多かったので、ひとり海辺でたたずみながら、のんびり流木でも拾って、 小さな火を熾し、静かに焚き火。
そんな思い出を共にしながら、ずっと自分のそばで相棒のように年を重ねていけるような。
こんな焚き火台がどうしても欲しくて。
最初は野良道具製作所というメーカーをやるなんて思ってもなかったので、とにかくその理想を叶えられるような、自分が納得のいく焚き火台を作るべく、何度も試作をしてテストをしては壊し、また新しい試作を作っちゃ壊し、を繰り返して作ってきました。
※初期の試作↓
その試行錯誤の結果、かかったコストも労力もDIYの範囲を遥かに超えたものになってしまいましたが、とにもかくにも「それ」は完成しました。
何かちょっと逆説的なんですが、出来上がったそれを見てあらためて思ったのが
ああ、自分はこういうのが好きで、こういうことがやりたかったんだな
ってこと。それがモノを作ってみてあらためて分かったんです。
自分はひとりが好きで、
ずっと変わらないものが好きで、
そして自然の中に居ることが好き。
それは、「野良」ってことなんじゃないかなって。
その焚き火台にはまだ名前もなかったけれど、すごくナチュラルに「野良」というキーワードが当てはまって、そして野良ストーブは生まれました。
野良ストーブ
野良ストーブ ~Nora Stove~ 山でも、川でも、海でも。 どこへ行くときも連れて行きたくなる、小さくて頼りになるヘビーデューティー焚き火台 野良ストーブの生い立ち 私が野良道具製作所の製品とし […]
経営革新計画も認定を受けました。
野良道具製作所
そんなふうに、野良ストーブが完成して、それで「野良」というコンセプトが固まっていった、という流れです。
色んなしがらみとか、煩わしい人間関係とか。それはリアルもネットも。そういうの全部忘れて、野良になる。そのための道具。
ひとり自然と向き合う。自分と、自然。その間をつなぐ道具。
その道具が使い捨てであっていいはずがなく、その道具はずっとそばにある相棒でないといけない。
だから、私が作る道具は他のどのギアより頑丈に作っています。(自分が異常なまでに頑丈好きというのもある)
だから、特に決まったスタイルがあるってわけじゃないです。
みんな好きなやり方で、好きなスタイルでアウトドアを楽しめばいいと思ってる。
そこに、みなさんと自然との間に、
「これがあったらもっとワクワクするんじゃないか」
そう思ってもらえるような道具であれば言うことなしです。
野を良く
野を良く、と書いて野良。
自分はもともと魚突き(スピアフィッシング)という海遊びが好きで、またまたその流れで自分で銛を作るようになり…笑
それが昂じてスピアフィッシングのお店まで作った、というのが自分にとっての最初の「お店」になります。
そして海辺でキャンプする中で焚き火道具を作り始め、それが野良道具製作所の礎になった、という話を冒頭でさせてもらいました。
この写真は過去の栄光。笑
そのお店をやる中で痛感したのが
海辺での遊びは、地域の方の理解や協力が必要不可欠
だってこと。
もちろん海は誰のものでもないけれど、その海岸や海辺は、はるか昔からその地域の方が守って整備してきた場所で。そこで遊ばせてもらう以上、その「地域というフィールド」を蔑ろにして、その遊びが成り立つわけがないんです。
これはキャンプやアウトドアでも完全に一緒で。
海は誰のものでもないから、お金を払ってるから、だから何やってもいいだろうみたいな事を続けてると、一瞬でそのフィールドは使えなくなってしまいます。
というかそれを海でも野でも実体験として痛いほど経験してきたので、すべての遊びには「地域」との連携が必要不可欠ってのを強く認識してます。
そういう意味でも、「野=フィールド=地域」として、そこを良くしていくというのもまた不可欠な信念として、野良のコンセプトに据えています。
野良でいい、野良がいい。
まあね、10年後には野良なんてブランドは消えてなくなってるかもしれません。でもそれで全然いいんです。10年ごときで消えるような道具は作ってませんから。
だから10年、20年、30年と経ったあと、ブランドは無くなってたとしても、みなさんの手元に使い込まれた野良道具があって。
そいつらがみなさんの楽しい思い出の一助になっているのであれば、もうそれ以上のことは無いなと思います。