ナイフ関係の投稿をするとよくいただく質問、
「このナイフはバトニングできますか?」
今回はその質問に野良が独断と偏見で答えていく!
バトニングとは
「ナイフの刃をあらかじめ薪に当てておいてナイフの背を “別の薪で” ぶっ叩いて割る手法」
と早口に言えばそういうことです(適当)
“別の薪で”をわざわざカッコ付きで書いたのは、たまに薪じゃなくて「ハンマー」とかでぶっ叩く人がいるからです。大事なナイフを叩き壊したいなら別にいいですが、そうじゃないなら木(薪)で叩きましょう。
まあバトニングってそういうことですからね。バトン=木の棒。
あ、あとバトニングを「薪を割る手法」の事だと思ってる人がいますが、正確には「小割を作る手法」だと私は考えてます。
細かいことを言うようなんですが、バトニングで結構なサイズの丸太が割れると思ってる人もいるので。
そんな無茶しちゃダメだよ、道具は壊れるし怪我もするよ、という意味も込めて一応そう書いときます。
小割とは
小割ってなんだ?というと、あらかじめ割ってある「薪」、これを更に細かく割ることです。
キャンプ場で売ってる薪とかも結構太かったりしますよね?それそのままじゃ燃えないし、焚き付けを作ったりする意味でも「薪を更に細かく割る=小割を作る」作業って結構頻繁にあったりします。
バトニングの是非
で、まずそもそもの話として
「ナイフでバトニングをすること自体どうかと思う」
という意見もあったりします。そりゃそうですよね。ナイフには少なからぬ負担がかかる手法ですから。
なのでのっけから突き放すような事を言っちゃうようなんですが、
やってもいいけどナイフ壊れる危険性はあるよ、そのへんは当然自己責任ね
というのが誠実な答えになろうかと思います。
バトニングが出来るナイフ
個人的な意見としては、最初からそれ(バトニング用途)を想定して作られた頑強なナイフを用い、正しいやり方でバトニングするならまあOKかなと考えています。
ただ繰り返しますが、それでも壊れてもらっちゃ困る大事なナイフではやらないに越したことはないですよ。バトニングはそれほどナイフに負荷がかかる行為だという認識は常に持っておくべき。
どんなナイフなら可?
あ、まず「オピネルでバトニングできますか?」→これは絶対ダメです。たまに聞かれるんです。絶対ダメ。
というかフォールディングナイフ(折りたたみナイフ)でバトニングは基本NGです。普通に壊れるよ。
じゃあ「モーラナイフ」ではできますか?できますよね?
→う、うん、、公式でもやってる写真載せてたりしますし、できなくはないと思います。
ただモーラナイフってひとことで言いますが、結構いろんな種類ありますからね?なんでもかんでもモーラならバトニングOKという認識はアレかも。たとえばエルドリスでバトニングは無理だと思っていた方が良いですし。
あえて基準(個人的な独断と偏見による)を示すなら、
- フルタング
- 刃厚4mm以上(あくまで適当な目安)
- 硬すぎない鋼材
このあたりを満たすナイフでバトニングするようにはしてます。あくまで個人的な基準なので異論は不要。
フルタングは強度的な意味合いです。
ただし下の写真のように、一見フルタングでもハンドル内部がかなり肉抜きされてあるナイフも有り、こういうナイフだと最も細くなっている箇所がバトニングの負荷で折れるかもしれません。(これは私物のKabar BK16)
逆にフルタングじゃなくても、ほぼフルタングに近い構造だったりで強度に優れるナイフもあります。モーラのガーバーグとか、スクラマとか。
まあそのへんも自己判断ですね。どーしても壊れて嫌なナイフならバトニングはやめときましょう。
刃厚はあくまで目安ですが、モーラがだいたい3mm厚ぐらいで、これだとクサビ効果が弱いために薪が割れず(特に硬い薪)、刃が薪に刺さったまま抜けなくなったりしやすい感。
なのでそれ以上の刃厚があるナイフが、モノを割るという作業的には都合がいいです。
ナタってどうなん?
これも良く聞かれます。で、これもやっぱりナイフと同じなんですよ。
そりゃやりたいならバトニングやってもいいけど、壊れても後悔しないでね、という。
少なくとも「ナタだからバトニングに向いてる」とか「ナタってナイフより頑丈なんでしょ?」みたいな認識は誤りだとハッキリ言えます。
あとはそういう質問を頂いたときは
「一般的な木の柄のナタは、バトニングで壊れることも結構ある」
という回答も必ずします。ナタならナイフより頑丈だろう!という誤った認識でガッツンガッツン叩かれてもナタも可哀そうだし、壊れて本人も怪我するかもしれないし。
でまあそういう話をすると決まって玄人っぽい人達が「いやナタでバトニングなんか普通にやるでしょw」みたいなツッコミをいれてくるんですが、うん、、まあそう思うならそれでいいし、別にその人たちが木柄のナタでバトニングすることを否定もしないんですけどね。
ただそれぞれの見解とかそんなの抜きにして、事実としてナロータングに近い木柄のナタはフルタングより構造上弱いってのは否定しようがないはずで、だからこそより強度の高い、下の写真のような全鋼(共柄という)のナタが存在するわけですからね。
これはハンドル材さえないので、壊れるっつってもナタ本体が折れる以外に壊れようがないので頑丈は頑丈。
なのでナタにせよナイフにせよ、ハードな使い方をするなら、それに対応しうるような強い構造のものを選ばないとね、という話です。
刃物の硬さ
硬すぎない鋼材、これについても一概には言えないものの、硬い鋼材は一般的に「脆さ」というデメリットを持っていることが多いです。(その代わり刃持ちが良い)
こういう硬い刃物は、バトニングのような荒い使い方をした際に「欠ける」ことが多いです。で、欠けたら欠けたで修正や研ぎ直しもめちゃくちゃ大変。硬いので。
なのでブッシュクラフトナイフとかでもそうですが、あえて柔らかめの鋼材、柔らかめの仕上げにしているナイフが多いのはそのためです。多少ラフに扱っても欠けないように。柔らかいんで刃持ちはよくなかったりもしますが、その代わり研ぎやすいですしね。
NG行為
でまあどんなナイフを使うにせよ、
ハンドルを叩いてはダメ
というのは共通してます。叩くのはブレードの背です。
あと、これはナイフの使い方の基本ですが
こじってはダメ
これも注意。木に刺さって抜けなくなった時とか、ナイフを横方向にコジって抜こうとする人がいますが普通に壊れます。
どんなのがおススメか
これもまあ好みにもよりますし、先述の通りバトニングという行為自体が自己責任である以上、気にいったナイフを使えばいいと思うんですが、頑丈で安くて惜しげもなくガンガン使える、という観点で言うならシルキーさんのナタは良いと思います。
ナタ?ナイフじゃないじゃんというツッコミは無しで。
刃厚は6mm、構造はフルタングではないものの、しっかりハンドル内部までタング入ってますし、というかブレードそのものが交換式だったり。これが5000円前後で買えるので、ヘタなナイフ買うよりかはよっぽど役立つと思います。※長さは150mmぐらいがバランス良し
あと、どーしてもナイフがイイっていう方にはこのあたりでしょうか。
刃厚は3mmなのでゴツい薪には向いてないけど、頑丈さ、価格のバランスが良い&メーカーもバトニングOKとしている実用ナイフ
「ハルタフォースGK “Heavy duty”」
https://noraoutdoortools.shop/items/65e032b6b363bc06d89247eb
刃物の運搬と扱いには注意してね
そうそう、最後に重要な補足を。
さいきん多いのが、「キャンプ道具を車に積みっぱなし(刃物類含め)、職質でチェックされてアウト」というケース。
これホント気を付けてくださいね。
銃刀法についてここでは詳しく触れないですが、基本的に「目的なく刃物を持ち歩く」こと自体NGです。護身用?ダメ。来週のキャンプ用?アウト。キャンプに向かう途中であったとしても、助手席にポンと置いておくとか絶対ダメ。鍵付きのボックスに収納してトランクに、が模範解答かと。
「じゃあこういうケースはどうでしょうか?」みたいな質問してこられても答えないので悪しからず。刃物を扱うなら関連法についても自分でしっかり調べましょうね!