まあ、誰しもが得意なこと・不得意なことがあって。
足らない部分は自分で努力して克服したり、もしくは誰かに助けてもらったり。大なり小なり、みんなそうやって何とか補って生きていってると思うんです。
みんな何かしら欠けてるわけで、「補う必要がない人」なんか居ないんですよね。
それには健常者も障害者も関係ないはず。
ただ、じゃあ障害のある方がそうやって「頑張って生きていこう」「豊かな人生を送ろう」と思ったとき、それを可能にする
仕事
って物凄く少ないよね、という現実があって。
いや、普通に思うんですけど、この現実って厳しすぎやしないですかね。
障害を持っていて色々な面で制約がある障害者より、いわゆる健常者のほうが「社会に補ってもらえている」って、それちょっとおかしくないですかね。
福祉、って何だろう?
というのを考えた時に、上のような話で言えば
「まあ障害者だから仕事が無いのも仕方ないよね」
という人が大多数で、それに対して
「いや、それ仕方ないで済ませていいの?」
と問いかけること自体が福祉なのかなと思ったりもします。
たぶんですけど、みんな自分が「高齢者」になることは何となくイメージできるんでしょうね。
でも自分が「障害者」になることは想像もしてないんじゃないかな。
だから障害者福祉の方が特異な目で見られるし、逆に時には過剰なまでに賞賛されたりする。
でもね、誰しもが明日には障害者になってるかもしれないんですよ。
自分、もしくは家族、大切な人。
明日から障害を抱えて生きていくことになった時、それでも「豊かな人生を生きたい」と願う事は、人ごとじゃなく自分事として、万人に共通だと思うんです。
少なくとも私は、どんな状況になってもアウトドアを楽しみたいなと。
それが「贅沢だ」と言われるような社会にはしたくないなと。
で、ここからが自分たちのチャレンジなんですが、福祉をすべて社会に求めるというのも、それもちょっと違うかなと自分は思ってて。
というより、福祉をすべて社会にやってもらおうと思ったら、当然それは「必要最低限」のサポートのみになりますよね。
その必要最低限のサポートさえ行き渡ってないのに、それ以上の福祉を国に求めるのはちょっと違うじゃないですか。
だから一つの事実としては、ここから先は
一つ一つの企業が、ちょっとずつでも力を出し合っていくしかない
と私は思うんです。
自分には正直「福祉に取り組んでる」という意識はあまり無いんですが、それでも今の福祉って何だかなあ、と思う事はあって。
ただ自分には知識もないし、直接的なサポートもできない。
とくれば、商売人である自分に出来ることといえば一つしかないわけですよ。
それは「仕事を生み出し、仕事を振ること」。
で、これはとてもラッキーだったなと思うんですけど、
仕事を振ろうと思って最初にお声がけをした施設の人、それが今も一緒に商品作ってる「御園さん」なんですが、最初にこの人と出会えてて本当に良かったなと思いますね。
それなりに複雑な作業で、正直これは出来るかな・・・?と思うような作業内容でも、適材適所で「その人その人に合った業務」を割り振って、しれっと高品質なモノを納品してくれるんですよね。
いや、もちろんそれはスタッフさんの色んな苦労があってのことなんですが、それでも「ディレクション次第で、これだけのことが出来るんだ」というのは私にとってはかなり大きな発見で。
物凄く身勝手に聞こえるかもしれないんですが、
なんだ、これならガンガン仕事振っていこう!
と私はその時思ったし、むしろなんでみんな仕事を振らないんだろう?とさえ思いました。
アウトドアがブーム?とやらになって。
そのために良いこともたくさんあったでしょうけど、悪い影響もあった。マナー問題とかね。
我々業界の側にいる人間としては、その負の側面を出来るだけ清算して次の世代に繋げていく義務があります。
そのブームで業界に「仕事」自体は増えたはずでしょう。
なら、その仕事を出来るだけ福祉に振っていこうよ!
ってのが一番言いたい事であり、やりたいことです。
「アウトドアブーム?で色々ネガティブなこともあったけど、でもさ、何か障がい者の雇用がすごく増えたらしいよ?」
そうなれば言うことなし。
製品のパクリは許しませんが、こういう取り組みはどんどん他社さんにパクってほしい。笑
これはキャンプで使うペグの形を模した「しおり」。
売上の一部を日本財団様が取り組まれている「子ども第三の居場所基金」に寄付するという、野良としては初めての試みでした。
→【ブックペグについて】https://norastove.com/bookpeg/
アウトドア、地域、福祉
そうやって自分たちがやってきたことを一度しっかりまとめ直して、あらためてきちんとしたコンセプトにしたいという想いが以前からあり、それがこのOutdoor Welfareという取り組みの源流にあります。
「野良=野を良くする」という信念で野良道具製作所を立ち上げてこれまでやってきて、やはりアウトドアとは「地域」あってこそであり、そしてその地域には福祉が必要不可欠だということ、これが自分の実感としてあって。
アウトドア、地域、福祉、社会、
本来密接に関わっているものなのに、それぞれの「温度差」があるせいで埋もれてしまっている資源は非常に多いと思うんです。
それって単純に「もったいない」よな、と思うことが多々ある。
それを、アウトドアを通じて「もっと外へ」。
企業と福祉、アウトドアと『もったいない』、『もったいない』と社会貢献。
それらを1つのコンセプト「Outdoor Welfare」として活動の軸にし、野良道具製作所と御園工房で取り組み、実社会に伝え、広めていこうと考えています。